10〜20代の若者を中心に大人気のショートムービーアプリ、TikTok。
個人やグループで楽曲に合わせたダンスから、日常に役立つノウハウまで様々なジャンルの動画を短い時間で楽しめることから人気を博しています。
かつてはCMがウザい、見たくないなどと煙たがれる存在でしたが、「TikTok売れ」と呼ばれる売れ方をするアーティストが続出したり、TikTokでバズったモノが即売り切れになったり、いまやTikTokは社会現象を巻き起こす中心的な存在となっています。
そんなTikTokはどんな会社が作ったアプリなのでしょう。
今回は、TikTokの運営会社「ByteDance」に関する情報や具体的な事業内容、信頼性について検証していきたいと思います!
最後まで読んでいただけると嬉しいです!
目次
TikTokの運営会社「ByteDance(バイトダンス)」とは?
まず、TikTokの運営会社「ByteDance」について以下の表にまとめました。
運営会社 | ByteDance(バイトダンス) |
本社 | 中華人民共和国 ケイマン諸島 |
創業者 | 張一鳴(チャン・イーミン) |
設立 | 2012年3月 |
事業内容 | ショートビデオプラットフォーム、コンテンツアプリ、 B2B製品の販売等 |
ByteDanceは、中国に本社を置くグローバルIT企業です。
2021時点では、ユニコーン企業価値世界1位に選ばれた注目の企業です。
ユニコーン企業とは、評価額が10億ドル以上(1ドル110円換算で1,100億円)、設立10年以内の非上場のベンチャー企業を指します。
残念ながら現在の日本ではその数は非常に少なく、2018年に東証マザーズに上場したメルカリはユニコーン企業の一社でありましたが、上場してしまったためその定義から外れました。
さらにウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、2020年の売上は343億ドル(約3兆7800億円)に達しており、世界的に最も注目されている企業のひとつと言えるでしょう。
また、事業内容を見て分かるとおり、ByteDanceはTikTok以外のアプリやプラットフォームを運営しています。
続いて、TikTokを含めた様々な事業内容を紹介していきます。
ByteDanceが提供するサービス3選
TikTokで有名なByteDance。
実は他にもTikTokと同じくらい盛り上がりを見せているプラットフォームを運営しています。
TikTok以外に、ByteDanceが運営する代表的なプラットフォームは以下の3つです。
- 抖音(ドゥイン)
- BuzzVideo
- Toitiao
一つずつ詳しく説明していきます。
抖音(ドゥイン)
抖音(ドゥイン)は、いわゆる中国版TikTokです。
2016年9月にリリースされ、現在は一日あたりのアクティブユーザーが6億人を突破しました。
正式名称は、「抖音短視頻(Douyinduanshipin)」です。
実はTikTokのアプリアイコンの「d」は、「douyin」からきています。
抖音(ドゥイン)の特徴かつTikTokとの違いとしては主に2点挙げられます。
- 抖音(ドゥイン)はライブ配信が盛ん
- 位置情報を有効活用できる
まず、抖音(ドゥイン)ではライブ配信が可能で投げ銭を行なえます。
日本では長らくこの投げ銭が不可能でしたが、2021年3月から「ギフティング」という形で可能になりました。
また、中国の配信業界では、ライブコマースが流行っています。
ライブコマースとは、ライブ配信で商品紹介を行い、その配信を通して商品を購入ができる仕組みのことです。
抖音(ドゥイン)では、このライブコマースが非常に盛んで、特にネットの閲覧履歴から消費者の好みに合うコンテンツをプッシュ配信する仕組みを導入し、衝動買いを促しています。
先日、2大ライバーが一日で3000億円売上げたというニュースも話題になりました。
嘘のような話ですが、このような現象が抖音(ドゥイン)で起きているのが現状です。
また、抖音(ドゥイン)では位置情報を有効活用できます。
位置情報を活用して、近くにいる人の配信を楽しむことができたり、気になるお店がすぐわかったりする利点があります。
日本においては位置情報も個人情報に含まれるためあまり知られたくないと思いますが、中国においてはこれが普通みたいです。
他にも様々な違いがあるため、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も御覧ください。
中国版TikTok「抖音」とは?日本版との違いやダウンロード方法までを解説!BuzzVideo
続いてByteDance が手掛けているのは「BuzzVideo」。
最近はYouTubeの広告で頻繁に流れているため、知っている方もいるでしょう。
2015年にアメリカで「Top Buzz」という名前でサービスを開始し、2016年に日本に上陸しました。
ちなみにTopBuzzはニュースサイトとして、BuzzVideoとは分裂して現在も存在しています。
BuzzVideoではいま話題になっている動画が、ユーザーの好みに合わせて次々と表示されます。
TikTokは動画の尺が3分までの上限がありますが、BuzzVideoではYouTubeのように10分、20分を超える動画をアップロードできます。
また、AIによって自分の趣味嗜好に合わせた動画を表示してくれるためスキマ時間の暇つぶしに最適な動画アプリです。
そしてYouTubeと同様に動画投稿によってお金を稼げます。
はじめは再生単価0.035円からスタートし、アカウントが優良であると判断されれば再生単価も徐々にあがっていきます。
動画投稿や配信で稼ぎたい方におすすめのアプリです。
Toutiao(トウティアオ)
Toutiao(以下:トウティアオ)は、「あなたが興味あるニュースこそ、ヘッドラインである」というキャッチコピーを掲げる中国大手ニュースアプリです。
同サービス名は中国語で「本日のヘッドライン」という意味を持ちます。
2012年にサービスを開始し、一日に1.2億人が利用し、累計利用者数は6億人を突破しました。LINEの月間アクティブユーザーが約7千人であるため、比較するとその規模感を実感できるでしょう。
トウティアオは、編集者が存在せず、AIのアルゴリズムによってユーザーが求めるニュースを閲覧できます。
また、ただ記事を閲覧するだけでなく、ユーザーも自身のコンテンツを投稿可能です。
そして、その投稿から収益を得ることができます。
今後は中国国内に限らず国外メディアも取り入れていく予定もあるため、ますます注目しておく必要がありそうです。
ByteDanceのサービスは信頼できる?気になる安全性は?
世界有数のユニコーン企業であるByteDance。
中国の会社であるため、サービスを利用する際は不安ですよね。
一概に危険であるとは言い切れませんが、危険視している国があることも事実です。
アメリカ | 2020年にアメリカ政府は中国企業が運営するアプリを「個人情報を収集して中国共産党に提供している」と警戒しており、人気アプリのTikTokも「安全保障と個人情報保護のため」という理由で、アメリカ国内での提供を禁止することが決定。(参照元:The NewYork Times) |
インド | 2021年1月25日、TikTokを含める中国59アプリ禁止の恒久化を決定。(参照元:ロイター通信) |
主にアメリカやインドがByteDance社を牽制しています。
- 中国によるスパイ対策
- 安全保障上の問題
一つずつ説明していきます。
中国によるスパイ対策
2020年8月に米国政府のポンペイオ国務長官は、英メディアの取材に対し、「TikTokユーザーの個人データが中国共産党の手に渡っている」と述べました。
その理由としてはTikTokがクリップボードに不必要に頻繁にアクセスしているということが判明したからです。
パソコンやスマホで、文章をコピーする際に使う一時的な置き場のことを「クリップボード」といいます。
TikTokがクリップボードに頻繁にアクセスしていることが有志ユーザーによって確認されました。
実際にクリップボードの内容を剽窃(ひょうせつ)していたという証拠はないものの、「セキュリティ上の懸念」は大きいといえます。
しかし、ユーザーに確認することなくクリップボードにアクセスするアプリは中華製アプリ以外にたくさんあります。
これはTikTokの問題でなく、簡単にアクセスできるようにしているiOSやAndroidなどのOS側の問題といえるでしょう。
ただし、不必要にクリップボードへアクセスしていたわけですから、今後も警戒が必要であることに変わりありません。
安全保障上の問題
米国のトランプ前大統領は、在任時に「TikTok禁止令」を出しています。
彼は、ByteDanceに限らず中国のアプリについて、国家安全保障上の脅威だと説明しました。
しかし、政権が代わり現在のバイデン大統領はトランプ氏の「TikTok禁止」令を撤回しています。
バイデン大統領は2021年6月に新たに出した大統領令の中で、連邦政府は中国製アプリやソフトウェアがもたらす脅威を「証拠に基づいた厳密な分析」によって評価し、「国家安全保障全体や外交政策、経済において、容認できないあるいは過度なリスク」に対処すべきだとしています。
また、アプリが「ユーザーの膨大な情報にアクセスし、それを収集」できると認めており、「このようなデータ収集は、外国の敵に情報へのアクセスを提供する恐れがある」と説明しています。
TikTokは毎月約8000万人のアメリカ人が利用しているため、国家の安全保障に関わってくることは納得できるでしょう。
これについてByteDance社は特にコメントを出していません。
また、同じ理由でインドは既に中国アプリを禁止しています。
ByteDanceを含めた中国アプリ企業の急成長が国家レベルの脅威になっていることは明らかでしょう。
こちらも今後の動きにさらなる注意が必要です。
日本においても禁止される可能性
実は私達が住む日本において、与党である自民党内からもTikTokを禁止する提言書が出されています。
それから一時的に禁止の流れはありましたが、いまのところ動きはありません。
個人情報を必要以上に載せない限り、普通に動画を見たり、配信したりする分には問題ないでしょう。
実際、中国側もLINEやGoogle、Twitterを禁止しているためどちらが悪いか決めつけることはできません。
ByteDance社がこれほど脅威になっているのは、ライブ配信が今後主流のメディアになりつつあるからかもしれません。
今後も配信業界や配信事業を行う会社に注目です。
ライブ配信の可能性について知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
【注目】TikTokがライブ配信を開始!収益化など今後の流れを大胆予想 中国発TikTokは危ない?問題点と人気爆発の理由を世界一わかりやすく解説