流行を次々と生み出す、ショートビデオプラットフォーム「TikTok」。
中高生を中心とした若者に親しまれ、いまやYouTubeと同じくらい日常的に目にすることが多いのではないのでしょうか。
そんなTikTokをきっかけに売れたアーティストはたくさんいますよね。
無名のアーティストが一躍有名になる場として注目されている一方で、こんな声を耳にしたことはありませんか?
実際、様々なアーティストの楽曲の権利が侵害されているのも事実です。
今回はTikTokと音楽に関連する権利である「著作権」について紹介していきます。
TikTokと著作権の関係
TikTokには著作権をめぐる、以下の2つの問題があります。
- CD音源をそのまま利用した動画が投稿されている。
- CD音源をサンプリング、又は製作者の許可なくアレンジを加えた楽曲を利用している。
この問題を考える際に、「著作権」の知識が必要になってきます。
著作権とは何か、CD音源をそのまま使ったり、アレンジしたりすることの何がいけないのかについて詳しく解説していきますね。
そもそも著作権って何?
「著作権」という言葉、聞いたことはあるけどよく知らない方も多いのではないのでしょうか。
著作権とは、自分の考えや気持ちを作品として表現した「著作物」を創作した著作者に対して法律によって与えられる権利のことを指します。
たとえば、音楽や芸術作品、写真、映画、プログラムなどを創作した人に対して与えられる権利です。
TikTokで流れる楽曲も、アーティストが制作した立派な著作物。
この著作物を著作者の許可無く勝手に使用すると、訴えられる場合もあります。
そのため、TikTokで著作者の許可なく音源をそのまま利用することは著作権法違反に当たるのです。
許可なくアレンジは禁止!「同一性保持権」とは
著作権の中にも種類があり、以下の通りです。
著作権は主に「著作者人格権」と「著作財産権」に分けられます。
著作者人格権とは、クリエイターの「名誉」や「作品への思い入れ」を守る権利です。
音楽でいえば、曲を作ったアーティストに対する名誉や、曲に対する想いに当たります。
そして今回注目すべき権利は、著作者人格権の中の「同一性保持権」です。
同一性保持権とは、簡単にいうと「著作物の内容を勝手に変えてはいけない」権利です。
つまり、楽曲をアーティストの許可なく勝手にアレンジしたり、楽曲の速さを変えたりすることは、「同一性保持権」に触れる可能性があるのです。
TikTokには、アーティストの許可なく速度を上げたり、アレンジが加えられたりしている楽曲を用いた動画が多々見受けられます。
最悪訴訟に発展することもあるため、無断で楽曲にアレンジを加えることはやめましょう。
TikTokで安全に楽曲を使用する方法3選
- TikTokが公式に提供する音源
- 楽曲のカバー音源
- 自作音源
それぞれ詳しく見ていきましょう。
TikTokが公式に提供する音源
TikTokで動画を撮影する際に、「♫楽曲を選ぶ」というボタンがあります。
「♫楽曲を選ぶ」ボタンを押すと、TikTokが公式に提供している楽曲を選択できます。
この中から楽曲をそのまま使えば、著作権について気にする必要はありません。
なぜ気にする必要がないのかというと、TikTokはJASRACと契約しているからです。
JASRACとは「日本音楽著作権協会」のことで、国内の作詞者、作曲者、音楽出版社などの権利者から著作権管理委託を受ける団体です。
JASRACと利用許諾契約を締結していると、権利を持つ人に対して個別に許諾を得なくても、楽曲を利用することができます。
JASRAC公式HPの利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧に「TikTok」の名前が記載されています。
TikTokで安全に楽曲を使用したいなら、ぜひ公式音源から探しましょう。
楽曲のカバー音源
こちらもJASRACが管理している楽曲をカバーすることは、著作権侵害に該当しません。
自身でカバー曲を演奏・録音したものであれば、著作権を気にすることなく動画を投稿できます。
ただし、カバーしたい楽曲のCDの音源をそのまま使用したり、何かを宣伝するために利用したりすることは禁止されています。
本物の音源を利用してカバーをしたいなら、やっぱり本人の許可が必要になります。
また、利益を得る目的でカバー曲を使用することも禁止されています。
たとえば、特定の企業・商品・サービスなどの宣伝には気をつけましょう。
自作音源を利用
これまでいろいろと述べてきましたが、自分で楽曲を制作し、アップロードすることが最も安全です。
なぜなら、自らが著作者に当たるため許可を得る必要がないからです。
自分でDTMを使って音源を作成したり、楽器を演奏・録音したりした音源であれば動画への音源利用は問題ありません。
ただし、他者の音源をサンプリングすることは許可されていないため注意しましょう。
TikTokで著作権侵害をしたらどうなる?
「無法地帯」と言われるTikTokでは、著作権侵害をしている投稿が多々見られます。
たとえば、明らかに許可なく他人のCD音源を利用していたり、元の音源のテンポを速くしていたりする投稿です。
もちろん、きちんとルールを守って音源を利用している投稿が圧倒的に多いです。
しかし、残念ながら著作権侵害をしている投稿も少なくはありません。
著作権侵害の投稿をしたユーザーが、どのような処分を下されるのか気になりますよね。
実際は、以下のような処分が下されます。
- 動画の削除
- シャドウバン
- アカウント凍結
- 訴訟
一つ一つ紹介していきますね。
動画の削除
TikTokでは、複数回の著作権侵害やサービス規約、コミュニティガイドラインの違反をすると動画が削除されます。
動画が削除されるだけでなく、アカウントも削除される場合もあります。
また、アカウントを新しく作成しようとしても不正行為を目的としている場合、運営により拒否される場合もあります。
ちなみに、もし自分が制作した楽曲がTikTokで著作権侵害された場合、著作権侵害報告を提出して、対象の侵害コンテンツをTikTokから削除することを要求できます。
このように、TikTokでは著作者に対する支援対策も講じられています。
シャドウバン
著作権侵害やガイドラインの違反をした場合、「シャドウバン」という処罰もあります。
シャドウバンとは、サイレントで予告なく実行され「おすすめ」に一切表示されなくなる処罰です。
シャドウバンをされると、突然動画の再生回数が落ちたり、いいねが激減したりします。
また、シャドウバンは一度されるといつ解除されるのかわかりません。
ちなみに、規約違反していなくても誤ってシャドウバンされるケースもあるため、自分のアカウントはされていないか常にチェックが必要です。
アカウント凍結
TikTokで他人の著作権を侵害すると、アカウントの凍結がされることも。
アカウントが凍結されると、運営側から当該アカウントに利用制限がかけられた旨の通知がくることが多いです。
しかし、全てのユーザーに利用制限通知がくるわけではなく、通知なしで即アカウントがBANの状態になってしまうこともあります。
凍結を復活させるには、利用規約違反にあたる動画を削除しましょう。
それでも戻らない場合は、運営に問い合わせが必要です。
訴訟
TikTokで他人の著作権を侵害した場合、その権利所有者から訴訟を起こされる場合もあります。
特に、著作物のイメージやブランドを損ねるものであったり、更にその再生数が高いものであったりすると著作者や権利所有者側が訴える可能性は高くなります。
現在のTikTokでは、アーティストの音源を勝手に利用された結果、そのアーティストが有名になったという事例が多いため、アーティストや事務所側が見過ごしている場合が多いです。
しかし、そもそも他人の音源を勝手に利用したり、イメージを損ねたり、アレンジを加えたりすることは著作権法違反であるため、訴訟にならないように避けるべきです。
まとめ
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます!
今回は著作権とは何か、TikTokと著作権の関係、著作権侵害に対する処分についてご紹介しました。
普段何気なく利用しているTikTokにも、法律は深く関係しています。
ルールをきちんと守った上で、楽しく安全にTikTokを楽しみましょう。